ことわざ

門前の小僧、習わぬ経を読む。by 日本のことわざ

門前の小僧、習わぬ経を読む。
by 日本のことわざ

あなたが自然に身についたことは何ですか?

タイトルの言葉は、皆様御存知の日本のことわざです。
お寺の近くに住んでいる子供は、いつもお寺からお経が聞こえてくる環境にあるので、習ってもいないのに、自然とお経を覚えてしまうということです。
環境が人に与える影響の大きいことを例えたことわざです。

人はそれぞれ、異なる環境で生まれ育ち、成長していくわけですが、どんな場所、環境で育ったかによって、その人の感性や性格、人間性に大きく影響することは間違いありません。

例えば、東京や大阪のような大都市で生まれた子供と、山や海、田や畑に囲まれた、のどかな田舎で育った子供とでは、人間形成に大きく影響し、まったく異なる人生を歩むことになるのは目に見えていますよね。
生まれ育った場所や環境は、自分で選ぶことができないので、どこで生まれたのかはその人の運命そのものということになります。

また日本には、「雀百まで踊り忘れず」ということわざもあります。
子供の頃に覚えた特技や習慣は、大人になっても忘れることなく続けられるという意味のことわざです。
このように、私たちは生まれ育った環境や習慣によって、自分の人生、運命が決まると言っても過言ではありません。

しかし、大人になれば、自分で運命を切り開くことができるのも人間の特性です。
田舎で育った人が、大人になって都会で生活することも可能ですし、子供の頃に好きだった特技とはまったく異なる仕事をする人も数多くいるからです。
とは言っても、子供の頃に覚えたことや習慣などは、大人になってもどこかに染み付いているもので、まったく影響がないとは言い切れません。

私たちの人生、どこで生まれ育ったかによる影響は少なからずあるのが実情です。
そしてそれぞれの経験や環境は、貴重な経験として、大人になっても影響を与え続けていくのです。

SDGsは、2030年に向けて、持続可能な社会の実現を目指し、理想的でより良い世界を創り出すために、国連が発表している世界共通の行動目標です。

SDGsの17の目標に掲げられている世界的な課題は、人がどこで生まれ育ったかによって受ける影響が大きな課題が多いのが実情です。
貧困や飢餓、人権侵害や環境問題など、どこの国で生まれたのか、どんな家庭環境で育ったかによって、大きな影響を受ける問題なのです。

「あの人はあの国で育ったのだから仕方がない」とか「あの人はあの家で育ったのだから仕方がない」などと、国や家庭によって被害を被るような社会が良い社会のはずがありません。
また、真面目で勉強熱心な人間が報われなかったり、悪い人間が良い思いをするような社会も、良い世界のはずがないのです。

私たちは、健全で誰もが平等で平穏に生きられる社会を構築していく必要があります。
それこそが持続可能な社会であり、SDGsの目標なのです。
「誰ひとり取り残されない」社会を創り出す使命を私たちは担っていることを常に意識しながら、今後も生きていきたいものです。

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