喉の渇きを満たした者は井戸に背を向ける。
by バルタサル・グラシアン
あなたは探し物が見つかった後、どうしていますか?
タイトルの言葉は、17世紀に活躍したスペインの哲学者 バルタサル・グラシアンの言葉です。
喉が渇いて苦しんでいる人は、一生懸命に井戸を探し回るものだが、喉の渇きを満たしてしまえば、人は井戸に見向きもしなくなるものだと述べた、人間の心理を皮肉を込めて述べた深いメッセージですね。
私たちは人生の中で、一生懸命に何かを探し求めてしまうことがありますよね。
昨今ではスマートフォンや財布をなくしてしまうと、頭を抱えてパニックになってしまい、どうしたらよいか本当に困ってしまいますよね。
自分が困ったときや苦しい状況のときに、何かを探し求めることはよくある話ですが、もしも探し求めていたものが見つかり、ほっと胸を撫で下ろしたとき、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?
探し求めていたもののことなどすっかり忘れてしまい、他の行動に走ってしまうのではないでしょうか?
モノをなくしてしまったのであれば、見つかったことに感謝し、もう二度となくさないように注意しなければなりません。
困ったときや苦しいときに探し求めていたものが見つかったときにも、そのことに感謝し、もう二度と困らないように、苦しい思いをしないように心がけなければなりません。
喉が乾いたときには、井戸がある所を一生懸命に探し回りますが、井戸が見つかって、喉の渇きを満たしたときには、もう井戸のことはすっかり忘れ去ってしまうのが人間の心です。
井戸があることに感謝するとともに、今後は、もう二度と喉が渇いて困らないように、事前に準備するとか、井戸の場所をあらかじめ把握するなどの対策をしなければならないということです。
人がパニックに陥ったとき、何とかしなければならないと必死になってしまいますが、それが解消されるとすっかり忘れ去ってしまうのでは、また同じ過ちを繰り返してしまうかもしれません。
例えば、世の中には何度も交通事故を起こしたり、モノをなくしたりする人がいるわけですが、それは過去の苦い経験や過ちをすべて忘れてしまい、何も学んでいないという証です。
同じ過ちや失敗を繰り返すのは、賢い人間ではありません。
過去の経験を活かし、同じ失敗を繰り返さないように、賢明に生きていきましょう。
