他人は自分の心を写す鏡と言います。これには、二つの意味が存在します。
日本には、「人こそ人の鏡」ということわざがあります。
自分の目に映る他人の言動は、自分の心を写す鏡のようなもので、改めるべき参考にせよという教訓です。
まさに「人の振り見て我が振り直せ」という意味です。
もう一つ、違う解釈もあります。
自分がとった言動は、相手から鏡のように同じ言動が返ってくるという意味です。
この2つの意味について、考察していきましょう。
人の振り見て我が振り直せ
だれかの言動を見て、イライラしたり嫌悪感を抱いた経験はだれもがあると思います。
人はなぜ、だれかの言動を見て嫌悪感を覚えるのでしょうか?
それは、自分の中に、その相手と同じような嫌な面があるからだと言われています。
「いいえ、そんなことはない。あんな言動は私は絶対にしない」と思われたかもしれませんが、行動するかどうかは別にして、同じような嫌な面をあなたは持っているのです。
例えば、人の悪口を言っているAさんを見てあなたは嫌悪感を抱きます。それは「人の悪口を言ってはいけない」という固定観念、価値観をあなたが持っているからです。
だから、悪口を言っているAさんは嫌いだという感情になるわけです。
Aさんを嫌いな理由は、「自分もたまには人の悪口を言いたくて我慢しているのにAさんは悪口を言っている」という自分の中にある反発心が原因で嫌悪しているのかもしれません。
もしくは、「悪口を言う人間は絶対悪だ」という価値観がAさんを許せないという感情に現れてしまうのかもしれません。
いずれにしても、Aさんという相手を通して、自分の価値観を確認しているのです。つまりAさんの姿を鏡として見ているということです。
あなたがAさんと同じ価値観の場合もあるし、そうではない場合もあるのです。どちらにしても、あなたはAさんに嫌悪感を持っているので、今後、親しくすることはなく離れていきます。
反対に、いつも人の悪口言っている人は、Aさんを嫌うことはなく、むしろ親しくなるはずです。「類は友を呼ぶ」というわけです。
つまり、人を鏡として見るということは、今後の自分の人間関係に大きく影響するということにもなるわけです。
あなたはきっとAさんみたいな人とは付き合わず、もっと素敵な人とお付き合いしようと思うはずです。
それが「人は鏡」として見るということなのです。
~後編に続く~