いかなる科学の力を借りても、またどんな利子をもって釣ったところで、人間はけっして不平なしに、財産や権利を分配することはできません。
by ヒョードル・ドストエフスキー
あなたは、何か不平不満を持っていますか?
見出しの言葉は、ロシアの小説家 ヒョードル・ドストエフスキーの長編小説「カラマーゾフの兄弟」の中の一節です。
人間は、決して不平なしに財産や権利を分配することはできないのだと述べた深いメッセージですね。
人間は全て、公平公正でみな平等に権利を与えられ、義務を果たさなければならないことは言うまでもありません。
しかし、現実社会においては、人間はみな公平で平等かと問われると、「イエス」と答える人はほぼいないでしょう。
私たちは、一人ひとりがそれぞれ異なる場所で生まれ育ってきました。
生まれ育った国や地域、家族によって私たちは最初から差がついています。
裕福な家庭で育った人もいれば、貧困家庭で育った人もいます。
国によっては、戦争やテロで苦しめられている人もいれば、平和な社会で暮らし続けている人もいます。
人は皆、公平で平等な社会で生きる権利があるわけですが、現実社会は決してそうではないのです。
また、もしも同じ財産や権利を分配しようとしても、全ての人を満足させることができないのも事実としてあります。
例えば、同じ財産を分け与えようとしても、人によっては、「自分は過去に苦しめられてきたのだから、他の人よりも優遇されるべきだ」との不平不満を述べる人が必ず存在します。
また、同じ権利を与えられたとしても、何らかの事情でそれを享受できない人が存在するのも事実です。
例えば、選挙権などで、病気や遠方などの原因で、それを行使できない人も存在するからです。
私たち人間社会において、全ての人を平等に扱い、全ての人を満足させるような社会を作ることは容易なことではないのです。
だからと言って、不平不満ばかりを言っていても仕方ありません。
私たちは、自分たちの与えられた権利を存分に享受し、できる範囲でやるべきことを実践し、義務を果たしていかなければならないのです。
一人の人間として、どうすれば幸せになれるのかを追求し、人々が安心して暮らせる社会とは何かを考えながら、今後も生きていきたいものですね。
SDGsは、2030年に向けて、持続可能な社会の実現を目指し、理想的でより良い世界を創り出すために、国連が定めている世界共通の行動目標です。
SDGsの活動においても、全ての人々に平等に公平に財産や権利を分配することはできないことは意識しましょう。
全ての人が平等で公正な社会を実現することは困難ですが、貧困や人権侵害をなくすことは可能です。
平等ではなくても、平穏で最低限の生活を送ることは私たちの権利であり、それを実現することが私たちの使命なのです。
現実問題として、貧困や人権侵害で苦しんでいる人々が多数存在する現在、私たちに何ができるのか、何をすべきなのか、真剣に考える必要があるのです。