我に才略無く我に奇無し。常に衆言を聴きて宜しきところに従ふ。
by松平春嶽
あなたは、周りの人の声に耳を傾けていますか?
タイトルの言葉は、江戸時代末期から明治初期にかけて活躍した福井藩第16代藩主 松平春嶽の名言です。
意味は、「私には優れた才能や知恵もないし、不思議な力もない。ただ常に人々の言葉によく耳を傾けて、その中で良いと考えられる意見に従うまでだ。」ということです。
人々の上に立つ立場の人間として、深く胸に刻みたい名言ですね。
経営者や政治家など、人々の上に立つ立場の人間に求められる才能とはどんなことなのか、松平春嶽公の言葉が胸に突き刺さります。
上に立つ人間には、特別な才能や不思議な力が必要なのではなく、「人々の意見に耳を傾ける」ことだと述べているのです。
上に立つ人間は、下にいる人々に対する大きな責任があるので、常に孤独であり、大きな荷物を背負っているような気持ちでいるわけです。
そして、自分ひとりで何とかしようと画策することもあるのです。
しかし、自分ひとりでは良い知恵は浮かびません。
そこで、必要になってくるのが、「人々の声に耳を傾ける」能力です。
人々はどんな考えを持っていて、何を求めているのかを知らなければ、良い知恵なんて浮かぶはずがないのです。
最終的に決定するのは、トップの判断力に委ねられますが、それは人々のさまざまな声があっての判断であり、独断で決めることではないのです。
ニュースでは、「国民の声を聞いてくれない政治家」なんて言葉をよく耳にしますが、本当に耳を傾けなくなったとき、その国は誤った方向へ進んでしまうのかもしれませんね。
SDGsは、2030年に向けて、理想的でより良い世界を創り出すための世界共通の行動目標です。
企業がSDGsを目標設定する際には、経営者が独断で決めるのではなく、従業員の意見を多く聞きながら設定することが望ましいあり方です。
しかも、できるだけ大勢の従業員からの意見を聞き、それを取捨選択しながら、最終的にトップが目標設定をするというやり方が良いと思います。
人はそれぞれ個性があり、趣味嗜好や生き方が全く異なります。
さまざまな人々の声を聞くことは、広い視野から物事を客観的に見ることができ、たいへん有意義なのです。
これからの時代は、トップダウンではなく、ボトムアップがますます求められていくのは間違いありません。
心得ておきましょう。