対立こそが対話の鍵です。意見が対立する人と話すことで初めてそれまで疑問に思わなかった思い込みがグラグラしてきます。
by 五十嵐沙千子
あなたは誰かと対話したことがありますか?
タイトルの言葉は、筑波大学准教授で哲学者の五十嵐沙千子先生の言葉です。
私たちは、意見が対立する人と話をすることで、今まで疑問にも思わなかった自分の思い込みが揺れるのだと述べた深いメッセージですね。
私たち人間は、全ての人が思い込みを持って生きています。
思い込みとは、ステレオタイプ、固定観念、先入観とも言い換えることのできる言葉ですが、人は皆、「こうあるべきだ」とか「こうすることが常識だ」という思い込みを持っている生き物だと言っても過言ではありません。
そのことが、良いとか悪いとかではなく、人間とはそういうものだということは理解しておいたほうが良いでしょう。
思い込みの例えとして、一例を上げて考察してみましょう。
「友達は多いほうがいい」と思っている人は多いことと思います。
友達がいない人や少ない人よりも、友達が多いほうが良いに決まっていると思うのは自然な感情かもしれません。
これも一種の思い込み、先入観と言えます。
しかし本当にそうでしょうか?
大勢の人と付き合うよりも、一人でいる時間のほうが落ち着くし、リラックスできる人も多いはずです。
また、友達が多いということは、それだけ一人の時間が減り、人付き合いを多くしなければならないことを意味します。
また、友達が多いということは、本当の意味で気が合う人、好きな人もいれば、馬が合わない人や価値観が合わない人もいるはずです。
そんな人たちとも無理して付き合わなければならないとすれば、それはストレスになり、心身ともに疲れ果ててしまうことにもなりかねません。
そう考えると、友達が多ければ多いほど良いというのは、ちょっと違うのかもしれないという気持ちになるのではないでしょうか?
寂しがり屋で、常に誰かと一緒にいたいという人には、「友達は多いほうが良い」という思いが強いのかもしれませんが、一人でいる時間が好きな人にとっては、「友達なんて少なくても良い」という気持ちの人も少なくないはずです。
「友達は多いほうが良いのか?」という問いには、正解も不正解もないのです。
「友達は多いほうが良い」という思い込みが強い人にとっては、「友達は少なくても構わない」という人と対話をすることによって、その思い込みがグラグラと揺れることになります。
それこそが対話の鍵であり、醍醐味とも言えるわけです。
私たちは思い込みや先入観を捨てることはできませんが、さまざまな意見を持つ人、反対の考えの人と対話をすることによって、その思い込みがグラグラ揺れたり、変化することもあり得るのです。
思い込みとは、ちょっとしたことがきっかけで、変わることもあるということも覚えておくと良いでしょう。
