「人間を磨く」とは、「非の無い人間」をめざすことではない。
by 田坂広志
あなたは完璧な人間を目指してはいませんか?
タイトルの言葉は、多摩大学大学院教授で著述家でもある田坂広志先生の言葉です。
「人間を磨く」ということは、「非のない人間」、つまり完璧な人間を目指すことではないと述べた深いメッセージですね。
「人間を磨く」という言葉を見て、皆様はどんな行動を想像されますか?
全てが完璧で、欠点や短所が全くない人間を目指す人を想像する人も多いかもしれませんね。
しかし、田坂先生は、「人間を磨く」とは、非のない人間を目指すことではなく、現状の自分を改善し、人間として成長することを意味しており、決して完璧な人間を目指すことではないのだと述べています。
また、たとえ完璧を目指したとしても、決して完璧にはなれないとも言えるわけです。
例えば、「飽きっぽい性格」を変えたいと思っている人がいるとします。
何をするにも長続きせず、すぐに飽きてしまい、行動をやめてしまう性格を変えたいと思っている人が、「人間を磨きたい」と決意した場合、全てを最後まで完璧にこなすような人間を目指さなくても良いということです。
「人間を磨く」ための行動は、人それぞれ異なりますが、「飽きてしまったな」と思っても、1ヶ月だけは続けようと決意するだけでも、その人は人間として少し成長できたということになります。
従来は、すぐにやめてしまったはずなのに、1ヶ月も続けられたというだけでも、人として成長できたわけですから、喜ばしいことなのです。
私たちとしては、欠点や弱みがない人間ではなく、欠点や弱みを自分の個性として受け入れ、向き合いながら、それを人生に生かすような生き方ができれば十分なのです。
完璧を目指せば、自分自身のみならず、他人に対しても厳しい人間になります。
それでは人間関係もギクシャクしますし、精神的にもつらい状況に陥ります。
そうではなく、人として少し学ぶことができて、少し大人になるくらいの成長ができれば、今後の人生に必ずプラスになるはずです。
常に意識しながら、今後も人生を楽しみましょう。
SDGsは、2030年に向けて、持続可能な社会の実現を目指し、理想的でより良い世界を創り出すために、国連が発表している世界共通の行動目標です。
SDGsの活動をする際にも、常に完璧を目指して、一生懸命に行動している人がいますが、できればそんな考え方はやめるようにしてください。
SDGsの17の目標は、一朝一夕に解決できるような課題ではなく、世界中の人々が協力して行動しなければならない活動なので、完璧な行動ということはあり得ないわけです。
完璧を目指すのではなく、自分のできることを自分なりのペースで、実践し続けていくという気持ちが大事なのです。
私たちに必要なのは、完璧ではなく、少しずつでも行動を継続していくという気持ちのなのです。