実際にその悲しみを体験しなくても、そういう悲しみが人生の中にあるってことを、わかっただけでもだいぶ違う。
by 小澤征爾
あなたは、誰かの悲しみを理解することができますか?
見出しの言葉は、音楽監督で指揮者の小澤征爾氏の言葉です。
悲しみやつらい経験というのは、たとえ体験しなくても、それを理解するだけでも心が変わるのだと述べた深いメッセージですね。
世の中にはたくさんの人が暮らしていて、いろんな経験をするわけですが、人には言えないようなつらい体験をする人もいれば、誰かの辛い体験談を聞いて涙してしまうこともありますよね。
例えば、親から虐待を受けながら育ってきた子供が社会にはたくさん存在するわけですが、もしも自分が体験しなくても、その人がどんな生き方をしてきたのかを想像することはできますし、心に寄り添うことはできますよね。
体験しないから、理解できないと否定するのではなく、その人のことを思いやり、「大変な人生を歩んできたね」と心に寄り添ってあげることは、私たちにもできます。
たとえ体験していなくても、「世の中にはこんな悲しいことがあるんだ」と理解するだけでも、私たちは何か行動を起こすことができるというわけです。
相手の気持ちを思いやるという気持ちは、常に意識しなければならないわけですが、それは自分が体験したかどうかではなく、相手の話を聞いて、その世界を想像してあげることが大切になるのです。
世の中の人が全員、こんな意識を持っていれば、戦争やテロなど起きるはずがないのです。
私たちにとって大切なのは、自分がどんな体験をするかではなく、社会全体を見据えながら、何が起きているのか、世の中にはどんな人が存在しているのかを、広い視点でとらえながら、そして寄り添いながら生きていくことなのかもしれませんね。
SDGsは、2030年に向けて、持続可能な社会の実現を目指し、理想的でより良い世界を創り出すために、国連が定めている世界共通の行動目標です。
SDGsに掲げられている17の目標ですが、私たちが体験したこともないような目標がたくさん掲げられています。
貧困や飢餓、戦争やテロ、人権侵害などの体験をしたことのある人は、我が国ではほとんどいないでしょうし、地球温暖化問題についても、まるで他人事のように思っている人も多いことと思います。
体験したことがないから理解できないと否定するのではなく、世界には本当につらく苦しい体験を毎日のように繰り返している人々がたくさん存在していることに思いを馳せることが大切です。
そして、私たちに何ができるのかを考え、具体的な行動を実践できれば、社会は少しずつ変わっていくのです。
同じ地球に生活している以上、これらの問題は決して他人事ではないのですから。