伝統というのは壊しても壊しても残っていくもの。昨日作ったものを反省して先に行く。その中で残ってきたものが伝統である。
by 観世栄夫
あなたにとって、今後も残していきたいものは何ですか?
見出しの言葉は、能楽師 観世栄夫の言葉です。
伝統というのは、昔からずっと変わらないものではなく、変わり続けて残ってきたものだと述べた深いメッセージですね。
日本の伝統芸能である能楽を演じてきた観世栄夫の、胸に突き刺さるような言葉ですね。
私たちは、「伝統」という言葉を聞くと、昔から変わらないものという印象を持ちますが、どうも違うようです。
能楽や歌舞伎といった伝統芸能は、とても古い歴史があり、受け継いできてくれた人々がたくさんいるわけですが、昔からずっと同じで全然変わっていないのかと言えば、そうではないのです。
演出方法にしても、技術の発展によって、照明や機材がより便利になり、工夫をこらして観客を楽しませる仕掛けになっていますし、セリフも現代の人々に合わせて、わかりやすい言葉に変わっているのです。
芸能だけではありません。
例えば、野球も百年前と比べれば、ルールは変わっていないとしても、球のスピードや作戦方法、観客への楽しませ方は、現代とは比べようもないくらい変わっているはずです。
日常生活やビジネスの世界でも、昔からあるような作業であっても、技術の発達によって便利になり、そのやり方はまったく異なっているはずです。
つまり、伝統とは、ずっと変わらないものではなく、物事をより良くしていこうとブラッシュアップしながら残ってきたものと言えるわけです。
もしかしたら、この世の中、まったく変わらないものなんて存在しないのかもしれません。
良いものは、よりブラッシュアップしながら残り続け、そうではないものは消えてなくなっていく。
それが世の常なのかもしれませんね。
SDGsは、2030年に向けて、持続可能な社会の実現を目指し、理想的でより良い世界を創り出すために、国連が提唱している世界共通の行動目標です。
SDGsの17の目標は、世界の人々がこれまでにやってきた行動を見直し、よりブラッシュアップしていこうとする目標とも言えます。
人類の過ちとも言える行動により、貧困や飢餓、戦争やテロ、環境破壊や人権侵害など、様々な課題が顕在化し、地球と人類の未来を脅かしているというわけです。
私たちは今、いわば人類の歴史、伝統を変えていかなければならないということになります。
これまでのような生活を続けるのではなく、より良い社会へと改善していこうとする心構えが大切になるのです。